タナカタナ夫! (綿)
日曜、寒風ふきすさぶなか、ラフォーレミュージアムに「タナカカツキのタナカタナ夫展」を観にいってまいりました。天久聖一さんとのアバンギャルド・ギャグ・漫画「バカドリル」でタナカカツキさんをはじめて知って、最近の「オッス!トン子ちゃん」に狂喜した程度しかタナカさんに関して知識がなかったんですが、「行ってよかった」と心底思えるイベントでした。
小学校の時の初マンガ「ミイラマン」からはじまって、同級生だった「マインドゲーム」(映画にもなりましたね)の作者でもあるロビン西とのまんが道的同人マンガ、ソウル・フラワー・ユニオンの河村さんとの合作マンガなど、えーっと思うものも。特に当時流行っていたという萩尾望都の「トーマの心臓」のアンサーマンガと目されるタナカカツキ作「マクビティの肺」のカラー表紙口絵(えんぴつ塗り!)を観ることができた。また、漫画家としてデビューした直後、現在のようなギャグとかアンビエント系ではなく叙情派漫画家として腕を鳴らした「逆光の頃」の原画もいくつか展示されています。スクリーントーンを使ってはいますが、余白の白と影の黒の使い方にすごくこだわりを感じます。しかしいくつか叙情派漫画家時代の原画が年代を追って並んでいるかと思いきや、突然変異的にくちづけ星からやってきた宇宙一下品な卑し系宇宙人「ブッチュくん」が登場するのが可笑しい。主催側の展覧の妙に一本!水木しげるの妖怪キャラのタナカツバージョンのような「激キャラ」や、当然手書きと思っていた「トン子」が実はデジタル原稿だったということもこの展示では知ることができるようになっている。
また、展示の目玉でもある「エレガンス」なる代物。巨大スクリーンに浮遊する発光金魚を置いてあるコントローラーで自在に動かし、その上発光する糞までさせることができるのだ。いつまでもひっついてくる金魚の糞は、金魚にとってみれば、もう過去のものでありその過去が発光体となって大きなスクリーン上に美しい軌跡を描くのである。もうひとつの大物には、「イエス☆パノラーマー」という360度スクリーンの展示がある。そこには「テレタビーズ」の世界のような青い空、茂れる草木、小川のせせらぎといった背景の中に、なぜか身をよせあうパンダたちの群れや、巨大なインコや、大きさのおかしい小動物たちが跋扈していて、そこに同じようになぜか小さいオッサンたちがいっぱい配置されています。公園の水道で手をあらうオヤジ、かばんをたすきがけにしてさっそうと歩くオヤジ、など小さなオッサンがいっぱいまみれてます。なんじゃこりゃ。ねっころがって観てくださいというスタイル。
展覧会の図録として発売されている「タナカカツキのタナカタナ夫DVD」は定価3990円のところ会場では2500円で売っているのでこれは即買いしました。「ブッチュくん」や「トン子」のありもしないアニメ番組のOPソングやエンディングテーマソングのアニメ、天久さんの「悲しみジョニー」のタナカツリミックス、KITTY EXに出品したキティちゃんの夜の夢をネオンの線で描いた「NIGHT KITTY」などなどそれだけでもおなかいっぱいなのですが、既刊のDVD「SUNDAY」に収録されている表題作「SUNDAY」や「ESP」の素晴らしさは特筆ものです。クリオネのように手をパタパタさせて飛行遊楽する少年たちの世界中の目撃映像(一般人が撮影したUFOの目撃映像のような質感)の連鎖でつむがれている「SUNDAY」は、鈴木翁二さんの作品のようなノスタルジーと透明感がすぅーっと目に迫ってきます。「イエス☆パノラーマー」にもあったけど、小さなオッサンがカラスに奪われた相棒の小さなオバサンを助け出すまでを描く「小さなオッサン」もかわいいくて好きです。また、RS-3000の「ring a rose feat. propher21」のPVがものすごいことになってます。紅茶のミルククラウンの中の女の子のスカートの模様の中の、玄関マットの模様の中の、といった具合に超マクロ的にカメラがズームしてくとそこには驚くべき楽園があり、その楽園の中のマクロにもまた楽園があるという構造。タナカツ映像集は「タナ夫シアター」としていくつか会場でも上映されています。とにかくこのDVD含め、「タナカタナ夫展」おすすめです。会期は28日まで。23日は19:30からタナカツ&いとうせいこうさん&伊藤ガビンさんのトークイベもあるとか。
(綿)
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